utteringUFOの日記

私とあなたの備忘録です

死に様、生き様

ミイラ展を観てきた。だからこのタイトルというのは、安直すぎて苦笑してしまうな。

先日に引き続き、今日もまた展示に塗れてきたけれど、昨日とは面子が違う。恋人と、共通の友人との三人旅は朝から始まり高い充実度を記録した。祝日なため家族づれで特に賑わう国立科学博物館は、わかりやすいキュレーションでもってミイラの仕組みを解明してくれた。自然にミイラ化したのを見てミイラにする風習ができた土地、元々ミイラ化しやすい土地、しにくい土地での強制的ミイラ化、生贄としてのミイラ化、聖遺体としてのミイラ、即身仏としてのミイラ......場所も経緯も様々なミイラを見ながら、思ったよりも死に対する怖さがないのを感じた。

もちろん生贄などは痛ましくて俯いたし、即身仏には思わずそっと手を合わせたけれど、ミイラ、つまり一種の死体を見ても死に対する恐怖は湧かない。むしろ今まではあったのに消えたような気さえする。死後の姿を見て、「そうか死んだ後は実体的にはこうなるのだな」というのがわかったからだろうか。もしそうだとしたら、やはり私は安直だなあ。

 

死んだ後のことよりも死ぬ前のことの方が怖い。これからどうやって生きていけばいいのかわからなくて、それを形作っていくための土台さえないからだろう。どこまでが自分の中に選択肢として存在しているのかもわからない。今日飲んだコーヒーがとてもとても美味しかったとか、二人の会話が面白くて聞きながら歩いているだけで幸せだったとか、古本屋で恋人の卒論に要り用な書籍を探るのが愉快だったとか、そういうことだけで生きていきたいと思うくらい、怖くて逃げたい。もしも生き様すらも選べなくなってしまった、その時はセルフメイドマミーをして、死に様だけでも選べたらいいな!