幼い頃からラリックが大好きだった。
適当な休日があると箱根に足を伸ばして温泉や美術館を楽しむのが我が家の常だった。彫刻の森やポーラ美術館など素敵なところは沢山あるけれど中でも好きなのはラリック美術館で、箱根に行くたびに必ず行った。建物ごと素敵で、アール・デコのガラス作品に囲まれる空間が大好きだった。ミュシャの絵なども併せて展示されていて、そういった系統が好きな人なら必ず訪れるべきだと断言できる美術館だ。
高校生の頃から都庭園美術館が大好きだ。
途中改装をすることもあったが、季節が変わるごとに訪れている白金台の美術館。旧朝香宮邸を利用したもので、展示品がなかったとしても十分楽しめるデザイン性と豪奢さを持った建築である。既にルネラリックによるシャンデリアがデフォルトで装備されている、アール・デコを極めた建築でお庭もセットで美しい。美術館というよりも、美術品の多いお屋敷に遊びに来たような気さえする。
そんな都庭園美術館に、ルネ・ラリックの作品がやってきた。たまらない組み合わせで、知った時からずっとずっと行きたかった。感想をその夜にツイートにしている。
念願のルネ・ラリック展(@都庭園美術館,〜4/7)に行きまして。
— UFO (@LaPetiteMortLa) 2020年2月10日
アール・デコ開花のきっかけ的ガラス製品たち、その製法も気にしながらガラスの凹凸と厚みや曇りと色などを見ていくと尚良い。植物・動物・神話がモチーフなので気持ちがよかった。
気に入ったらば、箱根のラリック美術館へも足を運んで。 pic.twitter.com/oYjRlT9hmg
都庭園美術館として利用されるこの旧朝香宮邸は1933年竣工のアール・デコをふんだんに取り入れた西洋近代建築で、ラリックによるシャンデリアや玄関のレリーフと共に成り立っています。ここでラリックの展示を行うことの素晴らしさが、建築と展示物のマリアージュから感じられて至福だった。住みたい。 pic.twitter.com/GRWo88KBLt
— UFO (@LaPetiteMortLa) 2020年2月10日
ガラスに光が通ったり反射したりして複雑な太陽のお祭りになり、何を見るのも楽しかった。見足りないし、暗くなるとどうなのかも見たい場所だらけだから絶対また行きます。
— UFO (@LaPetiteMortLa) 2020年2月10日
新館の展示デザインは永山祐子氏。透け感が本館から拾ってきているものに感じて連続性がある。 pic.twitter.com/GrZ1aYe0rs
この興奮の有様である。そりゃそうだ、好物をいっぺんに楽しめるのだから。
ラリック美術館にある1つの欠点を挙げるならば、陽の光があまり差し込まず橙色の証明だけでガラス作品を観ることになる点だ。しかし、この日は庭園の上を通ってきた柔らかな冬の日差しが室内に差し込んでくるままに、その光がガラスの存在を浮かび上がらせ、幸福な眩しさの恩恵を受けるに至った。これほどにまで素敵な体験があるのかと心が跳ね上がり、この光景を恋人と共有できて本当によかったなぁとしみじみした。もちろん観足りないので、四月までにまた必ずや。