utteringUFOの日記

私とあなたの備忘録です

慣れ

全ては慣れの連続なのだと、生きていて思う。

 

『パラサイト 半地下の家族』を観た。主題に慣れを感じていたから巧さは感じても感動は特になかった。これを他の似た主題を観る前なら全然違って感じていたと思うんだよ。彼らのような存在や貧富の差の拡大にも、どんどん慣れていっている気がする。状態が続くと麻痺して、分断が当たり前だと思い込むようになり、本当に良い状態とは何かを考えなくなる。愚かなことだ。だけど争い続けるのには様々な力がいるのだろう。

 

朝は東京駅で恋人を見送った。京都に一泊する彼に抱きついて、今生の別れかと思うような声で縋った。恋人とバイバイするのは未だに慣れない。次のデートが3日後だろうが一週間後だろうが1ヶ月後だろうが、寂しいものは寂しくて会えない時間をどう埋めようかと思ってしまう。このままずっとそばにいても一生慣れることはなく、その度に一人でしくしくやるんだと思ってしまう。

それでも、やるべきこととやりたいことをやらなきゃと思えば自然と身体は動いて、昼頃には映画の開場まで一人でお昼ご飯を食べたり買い物をしたりしていた。ベトナムやタイ料理が好きなのだが彼とはあまり食べないため、パラパラのタイ米とパリパリの鶏肉に舌鼓を打った。パラサイトを観てホラーっぽい演出にビビりつつも、端の分離した席で悠々と見入った。なんとなく帰りたくなくて、ジュースと酒が同じ値段のカフェでジントニックを食べながら書き物をした。するとお腹が空くので、サーモンのリエットを食べながら映画の評論を読み漁った。

実に充実しているし、虚勢ではなく心から一日を満喫していたなと思う。彼と付き合う前はこれが日常だったのだから、慣れるも何も古巣に戻ったような気持ちすらした。それでも、いつか彼も同じように私と居る状態が当たり前になって、そうでない時に寂しいと思ってくれたらな、などと傲慢に願う。