utteringUFOの日記

私とあなたの備忘録です

パラパラピラピラフ

お昼に母がピラフを作ってくれた。

この一文ではなんのことはない日常のように思われるでしょうが、私にとっては一大事でした。

 

母はいわゆるバリキャリ的な人で、私が生まれる数週間前まで働き、生まれて1ヶ月に満たないうちから保育園に預けてまた働いていました。主に学芸員だった期間が最も長いようですが、ライフステージに合わせて幾度か職場を変えても全てハードだったようで、朝6時半に家を出て午前2時に帰宅する生活を送っていました。海外への長期出張の時は流石に寂しくて泣きましたが、未就学児でもわかるほどのハードワークぶりに寂しさよりも心配がずっと優っていました。

そんな生活ですから祖母が全ての家事を担ってくれており、母の手料理を食べた記憶や記録はどこをどう遡ってもありませんでした。一時期はあまりに会話できる時間が取れないため、同じ家に住んでいる身でありながら母と交換日記をしている頃もあったのを思い出しました。今思えば、彼女の負担を増やしているだけでしたね。

 

そんな母がついに、3ヶ月は絶対にかかる退職引き継ぎができる体力のあるうちに職場をやめると梅雨に決意し、紆余曲折を経ながらなんとか残暑に辞め、今は定時で帰れるゆったりした近場の仕事に切り替えました。大学から帰ると母が家にいることに慣れない気持ちもありますが、自分の身体を大事にする決断をやっとしてくれてよかったとほっとしています。

 

母に余裕ができても祖母は家事をやりたがるので、相変わらず祖母の手料理を食べる日々でした。

しかし今日、祖母が蝋梅を見に、ちょっと遠くへ散歩してくると言って私と母と兄が残されました。「何食べようか?」と聞かれた際に、課題をやっている最中でつい気を抜いて「喫茶店で出てくるあのピラフ、最近食べてないな〜」と答えてしまったのです、今までキッチンに立っているのを見たことがない母に。

答えてからハッとした時には既に遅く、母は準備し始めていて、何が出てきてもちゃんと食べようと思いました(今思うとこの決意も失礼ですが、祖母に母は料理が下手なのと何度も言われて鵜呑みにしている私がいました)。

 

そうして出てきたピラフはバターの香りがしっかり香っていて、具材はエリンギとミックスベジタブルと残り物のボロニアハムで、隠し味に大葉が少々入り、パラパラに仕上がっていました。美味しかったんです、お世辞じゃなく心から。

あまりにも美味しかったのでレシピを聞いたら、味の素のサイトに載ってた〜と言っているし、歳の離れた兄は母が料理できることを幼少期に知っていたようで淡々と食べていました。私は初めて母が一から一人で作った料理を食べられた気持ちで感動していたし、味の素と母に感謝して少し泣きそうになっていたのに。

 

もしかしたら覚えていないだけで幼少期の私も一度くらいは母の料理を食べたのかもしれないし、仮にそうでなくても、母がレシピを調べてまで私の食べたいものを作ってくれたという事実は確かに今日存在したということを忘れたくないので、ここにしっかり記しておきます。

おやすみなさい。