utteringUFOの日記

私とあなたの備忘録です

撮り撮られ

今日は、午前の授業内試験を終えたあとは完全にバカンスでした。

彼女が撮る写真も本人の身姿も瑞々しくて綺麗な女の子と、もりもり食べて、展示を見て、カフェに行って.....(...今、カフェと打とうとしてケフェと打ち間違えたことで、ケフェウス座の存在を知りました)。とにかく素敵な午後を過ごしました、低気圧なんかに負けない楽しさの。

TOPの「山沢栄子 私の現代」と中野正貫写真展「東京」を見てきたのですが、写真を趣味とする彼女に色々聞きながら見ていくと、自分では得られない感想に至れてとても有意義でした。まあ、そうでなくても彼女の会話はいつも愉快で奥行きがあるのですが、その人が詳しい分野について話している姿ってとても魅力的に感じるのは、知識に惹かれているのか、好奇心へのひたむきさに惹かれているのか。

 

途中、会場にいらした中野正貫さん御本人に「なにその帽子?」と話しかけられたのをきっかけに、展示してある写真をどのように撮ったのかとか背景なんかを教えていただいたのも面白かった。目立ってくれたロシア帽に感謝しようと思いつつ、人のいない東京の風景を撮る苦労を聞かせていただくと写真を撮る人たちへの興味がさらに湧きました。私は、自分の日常を記録しておくために、瞬間を視覚的に保持できるからという理由でスマホで写真を撮りますけど、人に見せることや作品とすることは主目的じゃありません。彼女や彼らが、どういう経緯や思考で写真という媒体を選び、どんな意図や気持ちでシャッターを切るのか、写真家たちの気持ちに少しでも近づけたらなあと思いながら隣で一緒に見る彼女を時折撮りましたが、かわいいなあと思ってヘラヘラしてしまってまだよくわかりませんでした。

そう、普段は閑散としていて経営が不安になるTOPなのですが、今日は珍しく人で賑わっていて何故かしらと怯えてしまいましたが、きっと御本人がいらっしゃることを告知していたんでしょうね。人が入るだけで違う空間になったみたいでびっくりしします。

 

山沢栄子さんの方は、当時としては珍しかったであろう女性写真家としての彼女の半生を追いながら写真を展示する形式で、しかし性別に由来しない、美しい色彩と湿度にだまし絵のような構図と時代背景の見える被写体で構成された力強い写真が並びました。本当に、どのように撮ったんだろうと二人で首や体を傾げる写真が多くて、モノクロでもカラーでも魅力満載の写真家だと思います。

彼女も、写真家は技術職だから女でも同じ賃金をもらえて、そのことが嬉しいというように書いていて、女性活動家との交流やアメリカの女性写真家の師の存在を思うと、過去の人たちは随分と男女差別を解消してくれたこと、しかしそれもまだ道半ばなことを思い起こして下唇を噛んでしまう現実が横たわっているのを思い知らされます。

 

私は写真はてんで素人で本当にわからないのですが、山沢さんの展示は「魅せる」ことに、中野さんの写真は「遺す」ことに主軸を置いているように思えて、どちらも建築に見られる要素であることを考えると、写真についても学ばねばならんなとなりました。

人と展示を見ると、感想をその場で言い合えるのでその会話の記憶も作品に付加されて、一人で見る以外の楽しさに肋骨が解けるのを感じます。雨の中で一人で見たらきっともっと感傷的になったり雑になったりしたろうに、写真への学びと楽しさを提供してくれた彼女に投げキッスとハグを送って今夜は終いです。