utteringUFOの日記

私とあなたの備忘録です

死に様、生き様

ミイラ展を観てきた。だからこのタイトルというのは、安直すぎて苦笑してしまうな。

先日に引き続き、今日もまた展示に塗れてきたけれど、昨日とは面子が違う。恋人と、共通の友人との三人旅は朝から始まり高い充実度を記録した。祝日なため家族づれで特に賑わう国立科学博物館は、わかりやすいキュレーションでもってミイラの仕組みを解明してくれた。自然にミイラ化したのを見てミイラにする風習ができた土地、元々ミイラ化しやすい土地、しにくい土地での強制的ミイラ化、生贄としてのミイラ化、聖遺体としてのミイラ、即身仏としてのミイラ......場所も経緯も様々なミイラを見ながら、思ったよりも死に対する怖さがないのを感じた。

もちろん生贄などは痛ましくて俯いたし、即身仏には思わずそっと手を合わせたけれど、ミイラ、つまり一種の死体を見ても死に対する恐怖は湧かない。むしろ今まではあったのに消えたような気さえする。死後の姿を見て、「そうか死んだ後は実体的にはこうなるのだな」というのがわかったからだろうか。もしそうだとしたら、やはり私は安直だなあ。

 

死んだ後のことよりも死ぬ前のことの方が怖い。これからどうやって生きていけばいいのかわからなくて、それを形作っていくための土台さえないからだろう。どこまでが自分の中に選択肢として存在しているのかもわからない。今日飲んだコーヒーがとてもとても美味しかったとか、二人の会話が面白くて聞きながら歩いているだけで幸せだったとか、古本屋で恋人の卒論に要り用な書籍を探るのが愉快だったとか、そういうことだけで生きていきたいと思うくらい、怖くて逃げたい。もしも生き様すらも選べなくなってしまった、その時はセルフメイドマミーをして、死に様だけでも選べたらいいな!

ラリック!

幼い頃からラリックが大好きだった。

適当な休日があると箱根に足を伸ばして温泉や美術館を楽しむのが我が家の常だった。彫刻の森やポーラ美術館など素敵なところは沢山あるけれど中でも好きなのはラリック美術館で、箱根に行くたびに必ず行った。建物ごと素敵で、アール・デコのガラス作品に囲まれる空間が大好きだった。ミュシャの絵なども併せて展示されていて、そういった系統が好きな人なら必ず訪れるべきだと断言できる美術館だ。

 

高校生の頃から都庭園美術館が大好きだ。

途中改装をすることもあったが、季節が変わるごとに訪れている白金台の美術館。旧朝香宮邸を利用したもので、展示品がなかったとしても十分楽しめるデザイン性と豪奢さを持った建築である。既にルネラリックによるシャンデリアがデフォルトで装備されている、アール・デコを極めた建築でお庭もセットで美しい。美術館というよりも、美術品の多いお屋敷に遊びに来たような気さえする。

 

そんな都庭園美術館に、ルネ・ラリックの作品がやってきた。たまらない組み合わせで、知った時からずっとずっと行きたかった。感想をその夜にツイートにしている。

 

この興奮の有様である。そりゃそうだ、好物をいっぺんに楽しめるのだから。

ラリック美術館にある1つの欠点を挙げるならば、陽の光があまり差し込まず橙色の証明だけでガラス作品を観ることになる点だ。しかし、この日は庭園の上を通ってきた柔らかな冬の日差しが室内に差し込んでくるままに、その光がガラスの存在を浮かび上がらせ、幸福な眩しさの恩恵を受けるに至った。これほどにまで素敵な体験があるのかと心が跳ね上がり、この光景を恋人と共有できて本当によかったなぁとしみじみした。もちろん観足りないので、四月までにまた必ずや。

知らぬ土地に行く準備

イタリア・ウクライナ旅行に行く。二月末に、兄弟で。

ジョジョの聖地に行きたい弟とチェルノブイリ原発を知りたい兄の要望を汲んだ結果だが、なぜか二人ともあまり積極的に動かないので母が一番やきもきしている。私もそろそろパッキングの準備をしなきゃなと思いつつ、まずは旅行先の情報を得よう。

地球の歩き方Web版を見てふむふむ頷き、Amazonウクライナ関連本を漁り、西洋史と西洋建築史のノートを引っ張り出してきてイタリアで見られる様々な建築の資料を漁る。出発まで10日程になってしまったけど、これは知識をインストールするだけでかなり時間がかかりそうだ。急いで行くぞ。

 

知と美への努力を怠らぬ大好きな友人と久しぶりに会って焼肉を食べたので、勉強意欲がむくむく湧いている。明日のデートの準備をしたら、まずはウクライナの歴史について調べよう。ソ連についての知識は、戦艦ポチョムキンくらいしか知らないままだ。

右見て、左見て、後ろ見て。

今日は昼頃まで出かけるかどうかダラダラして、午後はひたすらフードファイターのように食べたあとで、部屋を片付けるモーションをして、ネイルを塗りました。ネイルを塗るのはひと月以上ぶりかと思われ、新年明けてからの生活の荒さが伺えます。

そういえば、新年明けて七草粥の頃に今年の目標というか基本指針を掲げたなと思い、活動の少ない今日、進捗を確認してみようと思いました。「自分を知って、強くする」という声の下に掲げた10個の目標を以下に並べましょう。

 

1.住環境を整える(1,2月で物の整理・3月で部屋を整える)

2.掃除習慣を身につける

3.自分の時間軸とリズムで過ごす

4.図書館を存分に利用し、知識と思考の海へ

5.単位を取りすぎず上手い采配を

6.実務技能を身につけ、形にし、完成させる

7.病状の整理と再検査・通院再開

8.心理・精神の把握と対応策の作成

9.お金を稼ぎ、収入と支出を記録する

10.欲しいものと必要な物を明確にし、衝動買いを防止

 

ほう......改めて見ると結構大変なことをあっさり掲げやがって、過去の私、貴様......

 

1に関しては一月忙しかったのもあり進捗はあまりよくありません。もっと心して物の分別と整理をしないと部屋がおぞましいままだと思います。よって2に関しては言わずもがな、そんな簡単に身についたら苦労しませんね。暇さえあれば掃除に取り組むようにしてくださいな。

3は割とできています。ちょっと夜更かししてしまう日はありますが、異常な眠気がちょうど夜に来てくれるためか2時前には眠れています。朝は未だ苦手ですが、午前中に用事を作るとスムーズに動けるのはいいことですね。

4はできていません。大学の図書館が利用できない状況のままで春休みに突入し、Netflix積ん読解消に躍起になって図書館には足を運んでいません。海外に行く前に、一度現地の建築の下調べのために都内の図書館に参りましょう。

5は三年生になってからの話なのでまだですね。でも今のところは全休を1日作れそうだ。6に関しては三月に建築事務所のインターンに行けることになったので、その際に色々吸収しましょう。

7はまだできていませんが、婦人科関連の異常が出ているのは確かなので春休み中に片をつけないといけませんね。また花粉症の季節になってアレルギートラブルが増えているので、そちらの解消をしましょう。マスク不足が甚だ不安です、コロナ......。8は、毎日の日記とこのブログのおかげか精神を安定させつつあるので一旦置いておきます。恐らく、ゆったり考える時間があまりなくやることとやりたいことの解消で日常が埋まっていっている状況が良いのでしょう。隙ができるのが恐ろしいです。

9も新しいバイトを見つけてゆっっったり稼いでいます。三月のインターンも時給のあるタイプですし。自分が働きたいところでお金をもらえるのは精神に良くて最高だなと感じます。収支記録に関しては一月末から途絶えているので、再開させてください。10はできていません。試験終了日にも開放感から可愛いイヤリングを買ってしまったし、不要な一人での外食から始まる過食が気になっています。今本当に欲しいものとその値段、そのために貯めなきゃいけないお金を今一度確認しましょうね。

 

こう見ると、金の無駄遣いの多さは記録の怠りから始まってるようなので、まずはそこから。そして掃除ができていないせいで、無駄なものを買ってしまっているのでしょう。あとは新たに発生した海外旅行イベントがあるので、それの前後で分割してやるべきことを細分化させていきましょう。

こうして振り返ると改めて重視すべきポイントがはっきりするので気持ちが良いです。定期的に見直していかなければ指針の意味はありません。きっと春休みが終わる頃には達成できていることと新たな課題ができているでしょうから、その時に指針改訂版でも作りましょうかね。人生の意義はまだよくわからないけれど、生活の永続的改善は人生の基盤となってそこから見えるものを変えてくれると思うので、焦らず毎日を過ごしてくださいな。

真実はいつもひとつ!

今夜の金ローはコナンだった。もうそれだけで一日が完璧になる、これ以上ない仕上がりだ。

コナンへの愛を示すように、このトレーナーを着て過ごす。

 

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今日の映画は、視聴者投票No.1である『劇場版コナン 瞳の中の暗殺者』。いつも物理的にも精神的にも力強くて頼りになる蘭ちゃんが、事件に巻き込まれたことをきっかけに記憶喪失になってしまい、そんな蘭ちゃんを守ろうと別居婚両親の小五郎と英理が集まり、園子ちゃんも少年探偵団も、髙木刑事も千葉刑事も、そして何よりコナンくんが頑張るお話だ。

人気なだけあって良い仕上がりなのでぜひ観て欲しい。ベースが光る音楽も、台詞のひとつひとつも素晴らしい。まあ、欲を言えばコナンシリーズ全てを観て欲しい。私は新年が明けると毎年次の新作映画が楽しみでならなくなってしまう。四月が待ち遠しい。多分小学生の頃から、ある友人と二人で毎年毎年映画館に観に行っていて、別々の大学に進んだ今も続いている。恐らく今後何があってもやめない恒例行事だ。

 

コナンの原作漫画もアニメも映画ももちろん全部愛しているけれど、やはり年に一回のこの映画にスタッフの力と愛が感じられて、年毎に変わるテーマや特色を首を長くして待つ時間すらも好き。もはやボジョレ・ヌーボーみたいなものだ。今年は赤井一家が一挙に集まるファビュラスな映画になりそうで、今から想像してにやけてしまう。早く四月になってくれないかな!もう!待ってられないよ!!!

逸る気持ちを抑えるために、漫画をまた一から読んで気持ちを落ち着けようかな。いや、それはますますニヤニヤしちゃうな。私にとっての少女漫画であり、バイブルであり、初めて買った漫画であるコナンが、これからも私の心臓を動かしてくれる。

青山剛昌先生、本当にありがとう。私よりずっと歳上だろうけど、私が死ぬまでずっと剛昌先生原作で毎年四月に映画をやってね。

新宿紀行

失くしたマイナンバー通知書の再交付申請というタスクを朝のうちに終えて、その足でコーヒー片手に新宿へ向かった。

 

まずは伊勢丹でチョコ探し。嬉々として片っ端から試食して、平日の昼間から賑わうバレンタイン催事場の隙間を縫う。週末にはどんな混雑になってしまうのか、想像するだけで恐ろしい。だから今日こそ決めようと意気込んだのに、どれも可愛くて決められない。チョコ本体の飾り付けはもちろんのこと、箱や缶まで可愛い。チョコを自分や友人や恋人のために選び抜く人たちの表情も好き。

色んな売り子さんに「一周してまた戻ってきます!」と伝えながら全てのお店を見て、食べて、見て......全くタイプの違う二種類にまで絞り込んだ。「どうしても決められない、どっちもあげたい。そういえばもう付き合って1年以上経ったからバレンタインチョコをあげるのは2回目だ。2個あげちゃえ!」という安直な思考によって、伊勢丹を去る私の手には可愛い紙袋が2つ。でも両手で抱えきれないほどのチョコの紙袋を持って宅配サービスへ向かうご婦人も見かけたから、まだまだマシな方だろう。

 

二月の最大イベントへの準備を整え肩の荷が降りたところで、昼ごはんを食べる。一人の時でもしっかり食べないと悲しくなってしまうので、パラパラの炒飯とザクザクの餃子の定食を。両サイドのリーマンたちが騒がしいのでイヤホンをして、ダウンロードしておいたアニメを観ながら食べるというお行儀の悪さも発揮します。

 

さあ、腹拵えをしたらば、電車で予約しておいた映画へ。おすすめされたアカデミー賞候補作、『ジョジョ・ラビット』。戦時中、ナチスに傾倒しヒトラーをイマジナリーフレンドに持つ10歳の少年のお話だ。最初は随所で笑い声が聞こえつつ私も笑っていたけれど、途中からまだクライマックスでもないのにずびずび泣いてしまった。ラストの方など、もう、もう。

泣く行為が付随する映画が絶対にいい映画だとは思わない。でも感情を大きく揺さぶるほどの意義あるメッセージ性やストーリー、映像の豊かさを持っている映画を評価したいと思っていて、そういう意味では笑いと泣きを行ったり来たりさせるこの映画は良い作りだと思う。色彩豊かな小道具や舞台、主役たちの高い演技力、当時の様々な背景や役割を感じさせるキャラクター、褪せることなく伝えるべき考え、それを今の時代に合わせて表現する時のユーモア。どの要素も文句のつけようがなく素晴らしかった。

映画同士を比較することにあまり意味があるとは思えないし、つべこべ言わず全部観るのがベストだけれど(映画は体験だから)、アカデミー賞候補同士ということで先日観たパラサイトと比較するなら、私は断然ジョジョ・ラビットを推す。fox searchlight picturesに感謝しなければ。映画冒頭の可愛い字幕出しと同じニュアンスで仕上げられたパンフレットも気づいたら買ってしまっていた。

 

TOHOシネマズ新宿のてっぺんから顔を出すゴジラがちょうど吠えるのを後にしながら、ゴミの匂いが充満する新宿・歌舞伎町を足早に抜けて、まだまだ私はお子様だと自分の街へ帰った。

 

神保町

初めて、神保町に遊びにではなく働きに来た。

私にとっての神保町は岩波ホールと古本の街であって、来る時はいつも一人でルンルンだった。岩波ホールの老人率の高さ、古本屋の匂い、何軒も巡った後にたくさんの本を抱えて入る喫茶店、時たま入ってみるお洒落なブックカフェ、そのどれもが好きだ。しかし今日は朝から緊張し通したままルンルンとは程遠いテンションをひた隠しにした笑顔を貼り付けて、バイト先の出版社へ赴いた。結果から言えば、本当にホワイトできちんと教えてくれる優しい社員さんのいる会社だったのだけれど、終わりまで断続的に手が震えていた。

 

私は電話が苦手だ。滑舌が悪くて聞き取ってもらえないのではという恐怖もあるが、家にある黒電話の鳴るのが怖くていつしか電話自体が怖くなっていた。しかし社会人になったらそんなことは言ってられないなと気を引き締め、自分を打ち直すために電話業務があるのを承知でこのバイトに申し込んだ。行っていきなり任されたのは案の定何本も電話をかける仕事で受話器が手汗で滑りそうになりながらこなした。頭が真っ白で全然わからないまま、もつれる舌でご挨拶した。

電話はもちろん、細かく何かをチェックするのも、後ろでコピー機やシュレッターや電話の音が鳴る中で会話するのも、音声からの書き起こしも、周りの人との柔らかで角の立たないコミュニケーションも、ぜんぶ苦手な行為だと思う。でも恐らくこれらができないと会社で働けないのだと思う。少なくとも就活をしている子達を見ている限りではそうだ。肉体労働も向いてない私がデスクワークもできないとなると、困る。本当に困る。

だから自分がなんとか社会人として働けるレベルにまで適応させるための訓練期間として、ここでバイトしようと思うが、私の決意なぞ会社には関係ないので彼らに迷惑をかけてはいけないというのはわかっている。でも社員さんたちの反応を見るに、きちんと期待に応えて仕事をこなせたようなので大変安心した。一度これはできると把握されたものは今後も安定したパフォーマンスでできなければいけない。彼らの時間やお金を損ねないように、許される限りこの温かい場所で働きたい。友人もいることだし。

それに何より、もしどうしようもなく駄目な時は岩波ホールに逃げ込んじゃえばいいのだ。古本屋でもいい。きっと大丈夫だから一つずつ仕事を覚えていってね。とりあえず今日のご褒美は岩波文庫より『ウィーン世紀末文学選』をば。